本屋大賞って、発表前も楽しいけれど、発表後の“答え合わせ”もまた面白い。
「この作品、やっぱり強かった」
「え、そこまで上がるの!?」
「読みやすさより、そっちが来る年だったか……」
予想していたからこそ、結果を見たときの驚きも大きい。
そして何より、本屋大賞という賞が、ただの人気投票ではないことがよく分かる。
今回は、事前に予想していた本屋大賞2026ランキングTOP10を、実際の結果と照らし合わせながら答え合わせしてみます。
結論から言うと――
1位は的中。
でも、“本屋大賞らしい本”が上位に来ると思っていた読みは、少し外れました。
今年はどうやら、
「誰かに手渡しやすい一冊」より、「どうしても推したくなる一冊」
が強かった年だったようです。
- まずは結果:本屋大賞2026、実際の順位はこちら
- 1位は的中。『イン・ザ・メガチャーチ』はやっぱり“熱量型の本命”だった
- いちばん外したのは『ありか』。でも、読み自体は間違っていなかった。
- 最大のサプライズは『熟柿』2位。これは完全に“文学票”が強かった。
- 『PRIZE』3位は、かなり納得。むしろ“怖さ”をちゃんと読めていた
- 『エピクロスの処方箋』4位は、“評価されるけど伸びない”と思っていたら、しっかり伸びた
- 『暁星』は“強いけど勝ち切らない”を、そのまま体現した5位
- 『殺し屋の営業術』と『探偵小石は恋しない』は、ほぼ読み通り
- 『さよならジャバウォック』は、思った以上に伸びなかった
- 今年の本屋大賞2026で見えた、3つの傾向
- 結論:予想は外れた。でも、読みはかなり当たっていた。
- まとめ:今年は“本屋大賞らしさ”より、“推したい理由”が勝った
- おわりに
まずは結果:本屋大賞2026、実際の順位はこちら
実際のランキングTOP10
1. イン・ザ・メガチャーチ(朝井リョウ)
2. 熟柿(佐藤正午)
3. PRIZE―プライズ―(村山由佳)
4. エピクロスの処方箋(夏川草介)
5. 暁星(湊かなえ)
6. 殺し屋の営業術(野宮有)
7. ありか(瀬尾まいこ)
8. 探偵小石は恋しない(森バジル)
9. 失われた貌(櫻田智也)
10. さよならジャバウォック(伊坂幸太郎)
事前予想と結果を並べると、こうだった
| 予想順位 | 予想作品 | 実際の順位 |
| 1位 | イン・ザ・メガチャーチ | 1位 |
| 2位 | ありか | 7位 |
| 3位 | 暁星 | 5位 |
| 4位 | PRIZE―プライズ― | 3位 |
| 5位 | 殺し屋の営業術 | 6位 |
| 6位 | さよならジャバウォック | 10位 |
| 7位 | 失われた貌 | 9位 |
| 8位 | 探偵小石は恋しない | 8位 |
| 9位 | エピクロスの処方箋 | 4位 |
| 10位 | 熟柿 | 2位 |
正直に言うと、
かなり当たった部分と、かなり外した部分が、はっきり分かれた。
でも、このズレがすごく面白かった。
1位は的中。『イン・ザ・メガチャーチ』はやっぱり“熱量型の本命”だった
事前予想では、1位を『イン・ザ・メガチャーチ』に置いていました。
理由はシンプルで、
「今年、この本を推したい」と言いやすい力が圧倒的に強い
と思ったからです。
・現代的なテーマ
・語りたくなる強さ
・好き嫌いが分かれそうだからこそ、刺さった人の熱量が強い
・朝井リョウ15周年というタイミングの象徴性
本屋大賞は、毎年「読みやすさ」や「薦めやすさ」が強い一方で、
最後の最後に勝つのは、“今年の顔として押し出したい一冊”だったりする。
その意味で、今年の1位はすごく納得感がありました。
“本屋大賞らしい王道”より、“推したい熱”が勝つ年。
その読みは、ちゃんと当たっていたと思います。
いちばん外したのは『ありか』。でも、読み自体は間違っていなかった。
事前予想では、2位に『ありか』を置いていました。
正直、ここはかなり自信がありました。
・読みやすい
・幅広い読者に薦めやすい
・読後感がよく、嫌われにくい
・まさに“本屋大賞らしい”作品
でも、結果は7位。
ここで分かったのは、
「好かれる」と「上位に押し上げられる」は、必ずしも同じではない
ということでした。
『ありか』は、きっと多くの人に好感を持たれた作品だったはず。
ただ、今年の本屋大賞は、それ以上に
・「私はこれを推したい」
・「この作品の話をしたい」
・「売り場でこの一冊を前に出したい」
という、濃い支持票が強かったのだと思います。
つまり、『ありか』は弱かったわけじゃない。
むしろ、“本屋大賞らしい強さ”はちゃんとあった。
ただ今年は、それを上回る“熱の強い年”だった。
最大のサプライズは『熟柿』2位。これは完全に“文学票”が強かった。
いちばん驚いたのは、やっぱり『熟柿』でした。
事前予想では10位。
理由は、作品の強さを認めつつも、
・重さがある
・渋さがある
・文学としての厚みはある
・でも、“今この一冊を売りたい”票に変わるかは微妙
と見ていたからです。
でも結果は、まさかの2位。
これは完全に、
“文学としての強さ”が、そのまま強い支持票になった。パターンだったと思います。
今年の本屋大賞は、
単なる「売れそう」「薦めやすそう」だけではなく、“この作品を上位に置く意味がある”という票がかなり強く働いていた。
『熟柿』は、まさにその象徴でした。
この結果を見ると、
今年はかなりはっきりと、“読書人の矜持”が上位に反映された年
だったのかもしれません。
『PRIZE』3位は、かなり納得。むしろ“怖さ”をちゃんと読めていた
事前予想では、『PRIZE―プライズ―』を4位に置いていました。
結果は3位。
これはかなり納得でした。
事前には、
・好きな人が強く推すタイプ
・文芸好きに刺さる
・読書好きが熱く語りやすい
・書店員が「私はこれを推したい」と言いやすい
と書いていたのですが、今年の結果全体を見ると、まさにその通りだったと思います。
むしろ、『PRIZE』を高く置いていたこと自体が、今年の流れをかなり読めていた証拠だった気がします。
『エピクロスの処方箋』4位は、“評価されるけど伸びない”と思っていたら、しっかり伸びた
個人的に、もうひとつ大きかったズレが『エピクロスの処方箋』。
事前予想では9位。
でも結果は4位でした。
・タイトルがやや硬い
・すぐに手に取りやすいタイプではない
・続編的な立ち位置で薦めにくいかもしれない
……そう思っていたのですが、どうやら今年は逆だった。
むしろその“硬さ”や“テーマの強さ”が、
「この本を薦める意味」を強くした
可能性が高い。
医療、哲学、人生観。
こうした要素は、単なる読みやすさ以上に、推薦の言葉を書きやすい。
今年の本屋大賞は、
「一言で売れる本」だけじゃなく、「語る理由がある本」が強かった。
『エピクロスの処方箋』の4位は、それを象徴していたと思います。
『暁星』は“強いけど勝ち切らない”を、そのまま体現した5位
事前予想では3位、結果は5位。
ここは、むしろかなり近かった気がしています。
湊かなえ作品という時点で、
・面白い
・完成度が高い
・手に取りやすい
・「読んでみようかな」を起こしやすい
この強さは間違いない。
でも本屋大賞で1位を取るには、それだけじゃなく、“その年にこれを推したい熱”が必要。
事前に書いた
「強い。でも“告白”級の熱量があるかが鍵」
という見立ては、結果を見るとかなりそのままだったと思います。
5位という順位は、
“有力候補ではある。でも今年の顔ではなかった”という、すごく納得感のある着地でした。
『殺し屋の営業術』と『探偵小石は恋しない』は、ほぼ読み通り
この2作は、かなり予想に近かったです。
『殺し屋の営業術』
・予想:5位
・結果:6位
タイトルの強さ、説明しやすさ、売り場映え。こういう作品が本屋大賞で意外に強い、という読みはかなりそのままでした。
『探偵小石は恋しない』
・予想:8位
・結果:8位
これはぴったり。“手に取りやすさで票を拾うけれど、今年の顔になるタイプではない”という見立てが、そのまま出た感じです。
『さよならジャバウォック』は、思った以上に伸びなかった
伊坂幸太郎作品ということで、事前には6位予想。
結果は10位でした。
・固定ファンの厚さ
・読後の余韻
・語りたくなる空気
このあたりを評価して上位寄りに置いたのですが、今年はそれ以上に、他の作品の“押し出す理由”が強かった。
今年の本屋大賞は、「好き」だけでは上がり切れない年だった。とも言えるのかもしれません。
今年の本屋大賞2026で見えた、3つの傾向
ここが、今回いちばん面白かったところです。
1.「本屋大賞らしい王道」より、「濃い支持」が強かった
『ありか』が7位に留まり、
『熟柿』『PRIZE』『エピクロスの処方箋』が上位に来た。
これはかなりはっきりした傾向だと思います。
“誰にでも薦めやすい”より、“私はこれを推したい”が強い年。
2.文学性・テーマ性の強い作品が上位に食い込んだ
・『熟柿』2位
・『PRIZE』3位
・『エピクロスの処方箋』4位
この並びは、かなり印象的でした。
本屋大賞はしばしば「売れ筋の賞」と見られがちだけれど、
今年はむしろ、“売れそう”以上に、“推す意味がある”作品が上位に来た。
3.それでも1位は、時代性と熱量を兼ねた作品だった
そして最後に勝ったのは、『イン・ザ・メガチャーチ』。
文学性だけでも、王道性だけでもなく、
「今年、この本を前に出したい」
という熱量と時代性を両立した一冊が勝った。
今年の1位は、かなり象徴的だったと思います。
結論:予想は外れた。でも、読みはかなり当たっていた。
今回、順位だけ見れば、外したところも多かったです。
特に
・『ありか』を高く見すぎた
・『熟柿』を低く見すぎた
・『エピクロスの処方箋』の伸びを読み切れなかった
このあたりは、はっきり反省ポイント。
でも一方で、
・1位の『イン・ザ・メガチャーチ』は的中
・『PRIZE』の強さはしっかり読めていた
・『殺し屋の営業術』の上振れも読めていた
・『暁星』の“強いけど勝ち切らない”もかなり近かった
・『探偵小石は恋しない』はぴったり
そう考えると、今回の予想は、単なる順位当てというより、“本屋大賞の勝ち方”を考える予想としては、かなり面白かったと思っています。
そして何より、今年の結果で改めて分かったのは――
本屋大賞は、「本屋大賞らしい本」が勝つ年もある。
でも、「どうしても推したくなる本」が上位を独占する年もある。
2026年は、まさに後者でした。
まとめ:今年は“本屋大賞らしさ”より、“推したい理由”が勝った
今年の本屋大賞2026をひとことで言うなら、
「手渡しやすさ」より、「推したくなる理由」の強い作品が勝った年。
・1位は、時代性と熱量を兼ねた『イン・ザ・メガチャーチ』
・2位には、文学性の強さを押し切った『熟柿』
・3位には、語りたくなる熱量が強かった『PRIZE』
そして、“本屋大賞らしい王道”だと思っていた『ありか』が7位に留まったことで、今年の傾向はかなりはっきり見えた気がします。
予想は外れても、やっぱり本屋大賞は面白い。むしろ、外れたからこそ見えるものがある。
来年はもう少し、
「広く好かれる本」より、「上位で推される本」
を重く見て予想してみたいと思います。
発表前の予想も楽しいけれど、
発表後の答え合わせは、やっぱりもっと楽しい。
おわりに
みなさんの本屋大賞2026予想、当たっていましたか?
「この作品、もっと上だと思ってた!」
「むしろこの順位、かなり納得」
……そんな感想も含めて、ぜひ教えてください。

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