きみの色~ネタバレありのユーザー感想と小説レビュー~

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きみの色とは

2024年8月に映画公開された「きみの色」

私たちの感情や思い出に深く訴えかける要素を持ち、一度観たら心に残ること間違いない作品です。

この記事では、そんな「きみの色」をもっと楽しむためにノベライズ本を読んだ上で、なぜ、私たちの感情や思い出に深く訴えかけるのか?

山田尚子監督が「こころに秘密のある人に読んでほしい。」といった真意について私なりの解釈でまとめていきたいと思います。

今回、分かりやすいように起承転結でまとめていますので、文章を組み立てることが苦手な人や読書感想文を書く上での参考にもなればと思います。

ユーザー感想と小説レビュー

起)こころに秘密のある少女

「きみの色」の主人公・トツ子は人が「色」で見える不思議な少女です。彼女は虹光女子高等学校というキリスト教系の学校に通っている高校3年生で、3人の女生徒(しほ、さく、スミカ)と寮で生活しています。

トツ子は他の人が色で見えることを秘密にする必要がありました。それは、みんなから不思議に思われることがあったからです。

誰しもが自分の価値観や感覚など、周りの人と共有できない点があるものです。そんな主人公と同じような気持ちを抱える人には、共感できる作品になっているかと思います。

承)「色」を楽しんでいる少女

トツ子には好きな色があります。それは「青色」、特に幼少期はバレエ教室のお姉さんの「澄んだ青色」心惹かれていきます。バレエ教室のお姉さんみたいになりたくてバレエを頑張ります。初めは、ただバレエをすることを楽しんでいたトツ子でしたが、年齢が上がるにつれて、お姉さんみたいに上手くは踊れないことに悩むトツ子。そして、他の子から嘲笑されることで踊ることを嫌いになってしまいます。

ここでは、何かを夢中になって始めたものの、いつしか周りのことを気にして夢中になれなくなった様子が描かれます。誰しもが、上手になっていく自分を描いて最初は楽しく始めますが、いつの間にか自分よりも周りの目を気にするようになっていく。これはみんなが経験したことのある内容ではないでしょうか?

また高校では、「冴えて強く深みのあるコバルトブルー」を放つ「キミ」に心を惹かれていきます。「キミ」は元々学校の聖歌隊に所属していましたが、誰にも言わずに突然退学してしまいます。なぜ、キミが学校をやめたのか、突然の出来事に戸惑いながらトツ子は古書店でバイトしているキミを探し当てます。そこで、偶然居合わせたルイとバンドを結成することになります。

この時は、トツ子の行動力に驚きを隠せませんでした。まさか、あまり話したことのない相手を手掛かりのない中、探し当てるとは、、、。しかし、それだけキミの「コバルトブルー」に魅せられて夢中になれるところ、後先のことは考えず、好奇心に身を任せてバンドまで結成してしまうところに好感を持ちました。

転)「色」に悩んでいる少女

トツ子は幼いころ、「色」を誰かに知ってほしかった。その色が何なのか教えてほしかった。と思っていました。最初に打ち明けたのは、父と母でした。「あたし、ピンク色になりたい」とトツ子が告げると、父と母は固まり怯えたような顔をするのでした。それは、以前にも学校で先生から色について聞かされて眼科の検査に行ったことを思い出したからでした。

自分の秘密を打ち明けるも理解されることはなく、病気だと心配されてしまったトツ子。このことからトツ子は自分の秘密を隠さなくてはいけないものだと感じてしまいます。親の心配する気持ちも理解できるし、子供なりに自分の秘密を知ってほしかったトツ子の気持ちも理解できます。それだけに心苦しいエピソードだと感じました。

また、友達に「なっちゃん、みかんの色してる」と褒めたつもりだったが、なっちゃんはオレンジジュースと同じ名前で同級生の男の子からからかわれていたため、トツ子と距離をとるようになってしまった。

まさか、なっちゃんのオレンジジュースとみかんの色が被るとは、、、。当然、トツ子に悪気はなく、むしろ良い意味で伝えたつもりでした。自分の思いが相手にはうまく伝わらないもどかしさを感じます。

結)きみの色を持つ少女

トツ子はルイ(透明感のある美しい緑)とキミ(澄んだコバルトブルー)と3人でバンドを組み、学園祭で初めてのライブを行います。そこで、2人の色が共鳴して一つの曲を作るのでした。「この感覚を味わえるのは自分だけなのだろうか?」「この曲のすばらしさは誰でも耳で感じることができるのだろうか?」と自分の持つ「色」という世界に陶酔します。

トツ子は「色」が見えることで、楽しいことも苦しいことも経験しました。最終的に学園祭でトツ子は色が見えることに喜びを感じています。また、みんなにはどう見えているのだろうかと興味を持っています。人はそれぞれ君の色を持っていて、それぞれの色に良さがあり、混ざると一人では感じることのできない作品が出来上がる。トツ子がこころにある秘密と向き合って自分なりの答えを出した瞬間のように感じました。

あとがき

最後に)

「きみの色」を読んで感じたことは、映像で観てみたくなる作品ということです。「色」がテーマの話だけあって、トツ子や他の登場人物の「色」、その登場人物たちの感情の「色」、それぞれどう表現しているのか?とても映画を観たくなりました。これは、一度映画を観た人、観る前の人、そして、もちろん心に秘密のある人にぜひ、読んでほしい作品だと思いました。

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