生涯学習制度とは
生涯学習制度とは、理学療法士が学習を重ねることで、登録理学療法士→認定、専門理学療法士とステップアップしていく制度のことです。
まず、前期、後期研修を受講することで登録理学療法士になります。
登録理学療法士には、5年毎の更新があり専門、認定理学療法士になるための基礎知識が身についたと判断されます。
そこから、認定カリキュラムを全て受講し、申請後、認定試験に合格すれば認定理学療法士。専門カリキュラムを受講し、申請後、口頭試問について適切に回答することが出来れば専門理学療法士となります。
さらに、専門、認定理学療法士も5年毎の更新が必要となることから文字通り生涯学習を続けて行く制度です。
生涯学習制度とはどんな制度?
生涯学習制度は2022年度から新たな制度として導入されました。
この制度の目的は、多様化するニーズに対応できる理学療法士を育成し、専門職としての質を確保することです。
登録理学療法士になると、、、
それでは、登録理学療法士にはどうやったらなれるのか?
まず、1〜2年目で前期研修を学びます。座学(33時間)実地研修(48時間)
次に、3〜5年目で後期研修を学びます。座学(76.5時間)実地研修(理学療法士として3年勤務)
この研修を全て履修すると登録理学療法士になります。
メリット
それでは、登録理学療法士のメリットについて見ていきましょう。
登録理学療法士になると知識、技術を提供する側として実地研修の指導者や症例検討会の座長になることができます。
また、次のステップとして認定や専門理学療法士、介護予防推進リーダーを目指すことができます。
デメリット
次に、登録理学療法士を目指すデメリットですが、何と言っても時間と労力、費用面の負担が挙げられます。
まず、時間については5年で150時間を費やすということは、約19日間職場とは別に履修することになります。
労力としては、時給に換算すると約15万円(2024年の最低賃金1055円で計算)となります。
また、講義によっては費用(1000円~)が発生するものもあり、年会費(現在は18000円)がかかります。
さらに、ステップアップするためには全国学会への参加が必須なものもあり、職場によって出張扱いとなることもありますが、各自より自己負担となります。
理学療法士の現状
生涯学習制度は理学療法士の専門職としての質を確保するためには有用だと思います。
その一方で、物価高騰に対して理学療法士の収入上昇は見込めておらず、実質賃金が低下している現状です。
そのため、費用や時間を確保することが困難となり、学習意欲も低下し、ステップアップする気もなくなります。
また、最初に5年計画を立てるも20代であれば、結婚し子供ができて1年目に立てた状況とは環境が異なります。
さらに、費用と時間に見合う対価を提供できていないことが協会離れに繋がっている気がします。
学習した先の未来が描けるような取り組みが出来れば幸いです。
なぜ、理学療法士は給与水準が上がりにくい?
何で理学療法士の給与は上がらないのか?
給与水準の上昇を見込むためには、売り上げを立てる必要があります。しかし、リハビリにおける診療報酬の点数を変えることは難しく、1単位20分という制限があることで1日間で診れる患者数は限られています。
また、業務独占ではなく名称独占であるため、独立することが難しく病院または施設などで会社員として給与をもらうことが一般的であることが考えられます。
今後の理学療法士の働き方
それでは、今後の理学療法士はどう活動していくのか?
マッチングアプリを活用して副業を斡旋
休日などの隙間時間を活用してリハビリを行うことで副収入を得る。理学療法士と利用者をそれぞれ登録して、空いた時間にリハビリを提供することで副収入を得る方法です。
理学療法士協会(県士会)などが仲介に入り、個人として活動することで一人一人の自信や自覚を身に着けることができると考えます。
また、それぞれの理学療法士、利用者にお互い評価をしてもらうことで、より品質の高い医療を提供できればと考えます。
今後は、地域医療が主体となってくることから需要はどんどん増えてくると思います。
登録、認定、専門理学療法士のブランド化
登録、認定、専門理学療法士に対するブランドイメージを確立することです。現在は、一般的な理学療法士と比較して優遇される点がなく、肩書が増えることに留まっています。
この肩書を利用できる場所を作ることが求められます。一つは、先ほどのマッチングアプリで認定、専門理学療法士に人気が出てリピーターが増えること。もう一つは、ズームなどのオンラインを利用して新人理学療法士の悩みや相談に乗ること。
マッチングアプリでは資格取得者が利用者に対して一般の理学療法士以上の価値を提供できると証明することが必要となりますが、学習することで臨床現場に繋がることを示す場になると考えます。
ズームでのオンライン面会では、新人が自身の職場では簡単に聞けないことや言えないことを相談する場として活用できればと考えます。同職場では聞きにくいことを資格取得者から答えてもらうことで、お互いの利点を生かせると考えます。
また、資格取得者同士でお互いの専門知識を共有することでさらなる知識の集積に繋がると考えます。
最後に
以上は、あくまで私の個人意見ではありますが、理学療法士の未来について考えてみました。生涯学習制度は理学療法士がステップアップするために有意義であると同時に、現在の物価高の生活を圧迫する要因にも繋がっています。
理学療法士の未来が希望ある職業にできるようこれからも頑張って働いていきたいと思います。
皆さんの参考になれば幸いです。これからもよろしくお願いします。
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