チェーンソーマン レゼ編
序章:チェーンソーマン【レゼ編】
デンジは貧困と借金に追われながら、唯一の相棒ポチタとともに悪魔退治で生活してきた少年。裏切りにより命を落とすが、ポチタが心臓となって蘇生し、チェンソーの力を持つ“チェンソーマン”となる。公安のマキマに拾われ、衣食住を与えられる代わりに悪魔と戦う日々が始まる。そんな中、偶然出会った少女レゼとの交流は、戦うことしか知らなかったデンジに、恋や幸せの意味を教えていく。だが、それは同時に「失う痛み」を知る始まりでもあった──。
デンジ×マキマ×レゼの三角関係
デンジはマキマに拾われ、初めて「衣食住のある生活」を手に入れた少年。優しく導いてくれる彼女に恋心を抱き、その期待に応えるため“銃の悪魔”討伐を目指している。しかしマキマの愛情は、彼を依存させ離れられなくする、巧妙な支配でもあった。一方、デンジが偶然出会う少女レゼは、ソ連の兵器として育ち、自由も恋も知らずにきた存在。デンジとの交流は、彼女に「自分の意思で生きる」可能性を芽生えさせていく。デンジの心は、どちらへ向かうのか――。
第1章:出会い
運命の雨宿り:レゼが初めて恋を知った瞬間
デンジが雨に打たれ、電話ボックスで雨宿りしていた時、レゼと出会う。本来ならそこで任務として彼を暗殺するはずだった。しかし、デンジが吸い殻入りのコーヒーを何の迷いもなく飲もうとした姿から、彼の過酷な過去を悟る。また、デンジが照れながら白いガーベラを口から出して渡したことで、レゼの心に迷いが生まれてしまう。殺す相手ではなく、ひとりの少年として意識してしまったのだ。レゼは「お礼をしたい」と理由を作り、デンジを自分の働く喫茶店へ誘う。それは、恋が任務を侵食し始めた瞬間だった。
喫茶店で始まる不思議な関係
レゼが喫茶店に行くと、デンジはもう席で待っていた。「お礼をしてくれると言うから来てやった」と言うデンジに、レゼは嬉しそうにコーヒーを差し出す。デンジは「ドブの味がする」と文句を言いながら飲む。それでもレゼは楽しそうに笑う。その後もデンジは喫茶店へ通い、勉強をするレゼと過ごす時間が増えていく。レゼは「16歳でデビルハンターをして学校にも行ってないなんておかしいよ」と告げ、デンジは「レゼのいる学校なら行ってみたい」と照れながら答える。
第1章を読んで感じたこと

あの雨宿りの場面、ただの偶然じゃなくて…台風の悪魔が二人を誘い込んだって知ってから見返すとゾクッとするよね

うん。任務として近づいたレゼなのに、デンジの不器用な優しさに心が動いちゃうのが切ない。

喫茶店での時間とか、学校の話とか…ほんの少しの“普通”が、二人には宝物みたいなんだ。

でもデンジはマキマの支配から抜け出せないし、レゼは兵器で…どっちも自由じゃない。

運命に操られて出会ったのに、心は本気で惹かれ合っていく。そのギャップが胸を締めつけるよ…。
第2章:デート
夜の学校で近づく心
レゼとデンジは夜の学校に忍び込み、先生と生徒ごっこをして無邪気に楽しむ。やがてレゼは夜のプールへ誘い、デンジは戸惑いながらもついていく。泳ぎ方を知らないデンジのために、レゼは手取り足取り教えながら距離を縮めていく。「あなたの知らないこと、なんでも教えてあげる」と微笑むレゼの姿に、デンジの心は大きく揺れ始める。マキマへの想いとの間で葛藤しつつも、レゼとの時間は彼にとって特別な光を帯びていき、気づけば彼女の存在に強く惹かれつつあった。
花火の下で交差する選択
デンジとレゼは花火大会へ出かけ、都会のネズミと田舎のネズミの話をする。危険でも美味しいものを求める都会に憧れるデンジに対し、レゼは平穏な田舎に惹かれていた。彼女は「一緒に逃げよう」と願うが、デンジは今得た生活を手放せないと答える。理想も、生き方も、互いに違う二人。それでも惹かれ合った想いは止められず、花火に照らされながらキスを交わす。しかしその瞬間、レゼは任務遂行の決意を取り戻し、二人の間に避けられない戦いが始まってしまう。儚い恋の夜は、激しい対立へと姿を変えていくのだった。
第2章を読んで感じたこと

夜の学校のプールって、レゼにとっては本当は苦手な場所だよね?なのに入ったのは…デンジと楽しみたかったからなんだと思うと胸が痛い。

同感。任務より“少女としての気持ち”が勝っちゃった瞬間って感じがして切ない。

花火大会のシーンも象徴的だった。花火でボムの特性は目立たないし、飛行機も低く飛べないから、監視が弱まる…逃げるならあそこでしかなかったんだ。

だからこそ“田舎のネズミとして一緒に逃げよう”って本気で言えたんだよね。でもデンジは今のマキマがくれた生活を捨てられない。

恋と自由が重なった一夜が、戦いの始まりになるなんて…。
第3章:夜を裂く決別の戦場
裏切りの夜と救援者
不意を突かれたデンジはレゼに追い詰められ、命の危機に陥る。そこへ駆けつけたのは、チェンソーマンを慕うサメの魔人・ビームだった。彼はパワーが不在のためバディとして同行しており、デンジを必死に救い出す。だが花火の轟音のせいでレゼ=ボムの特性に気づくのが遅れ、戦況は不利に。変身したデンジも爆発を駆使するボムの多彩な攻撃に押されてしまう。レゼは皮肉にも、泳ぎ方を教えたように「戦い方」を示しながらデンジを追い詰めていく。恋が戦いへ変わる残酷な夜が始まっていた。
自由を賭けた海辺の決戦
デンジは「なんで俺を好きになる女は、みんな殺しに来るんだよ!」と怒りを燃やし、ビームの助けを借りて反撃の術を探る。提案された作戦を大胆にアレンジし、ビームに乗って突撃。その最中、ボムを守る台風の悪魔が割って入り、激しいバトルが勃発する。ビームは風の中を泳ぐように突き進み台風を撃破するが、力尽き倒れる。それでも彼の中に隠れていたデンジは生き延び、海沿いへと追い込まれたボムをチェーンで拘束。2人はもつれ合うように海へ沈んでいく。恋と戦い、その結末はあまりにも苦いものだった。
第3章を読んで感じたこと

レゼって、ただ敵として戦ってたんじゃないよね。泳ぎ方と同じように“生き残る術”をデンジに教えてた感じがする。

そう!あの戦い方って、この先のデンジの命を救う重要な技になるんだよね。愛した相手を殺す役目なのに…教えちゃうところがレゼなんだよ。

彼女は任務に縛られてるけど、心だけは自由になりたかったんだと思う。“自分の意思で誰かを守りたい”って気持ちが滲んでた。

でも結局、恋が戦いを呼び込んじゃう。好きだから教えて、好きだから刃を向ける…矛盾だらけの愛。

デンジは気づかないかもしれないけど、レゼは最後まで彼を生かそうとしてたんだよね。だから余計に切ない…。
第4章:戦いの果て
届かなかった「またね」
海辺で目を覚ましたレゼは、隣に倒れているデンジの存在に気づく。ビームが2人を救い上げていたのだ。デンジは必死に「今からでも一緒に逃げないか」と手を伸ばす。しかしレゼは、頭上の飛行機を見つめ「時間がかかりすぎた」と諦めの色を滲ませる。監視が戻った今、自由への道は閉ざされたのだ。なおも想いを向けるデンジに、レゼはキスをするふりで近づき、気絶させようとする。しかしデンジは意識を失わず、地面に倒れたまま「喫茶店で待ってるからーー!!」と叫ぶ。その声を背に、レゼは振り返らず去っていく。
喫茶店へ戻る想い
新幹線で逃げ、田舎のネズミとして生きるはずだったレゼ。しかしデンジの叫んだ「喫茶店で待ってるから!」が胸に刺さり、結局都会へと引き返してしまう。思い出の電話ボックスを横切り、あと数メートルで喫茶店に届く距離まで来た時、レゼの足元にネズミの大群が走り寄る。突如現れたマキマは「私も田舎のネズミが好き」と、すべて知っていたことを示すように微笑む。逃げる道も、恋も、自由でさえも彼女の掌の上だったのだ。
届かない恋、動き出す日常
レゼはボムに姿を変える暇もなく、マキマに一瞬で殺されてしまう。喫茶店の方へ手を伸ばしながら「居た…」と、デンジが本当に待ってくれていたことを悟り、そのまま息絶える。血の円が静かに広がり、全てが運命の罠だったことを示していた。一方その喫茶店では、デンジが白いガーベラの花束を抱え、レゼを信じて待ち続けている。マスターは「またピッタリな人が現れるよ」と優しく声をかける。そこへ突然パワーが現れ、デンジの日常は何事もなかったかのように続いていく。彼はまだ、レゼの最期も想いも知らないまま都会のネズミとして生きていくのだった。
第4章を読んで感じたこと

逃げられたのに喫茶店へ戻っちゃう…そこにレゼの恋の答えがあるよね。好きな人のもとに行きたかっただけなのに。

自由を奪われた世界で、レゼが自分の意思で答えを出したんだよね。

でも、届かなかった。それすらもマキマの掌の上だったなんて、残酷すぎるよ!

最後にレゼがデンジの姿を確認できたのが、唯一の救いだよね。“居た”て呟くところ、胸が痛い。

デンジはパワーと再会して、また日常に戻っていくんだよね。マキマの掌の上で都会のネズミとして。

知らないことが“幸せ”な日常を演出しているよね。
学びと成長 ― レゼ編が教えてくれたもの
初めての恋が教えた痛み
レゼ編はデンジにとって、初めて“恋”を知り、そして失う痛みを味わう物語だった。誰かと笑い合い、未来を語りたいと思える気持ち――それは彼にとって未知の幸せ。だが同時に、奪われる苦しみも初めて知ることとなる。マキマの支配された日常の中で、それでも自分の意思で誰かを大切にしようとする心が芽生えた。その成長こそが、この章の最大のテーマだと言える。デンジは戦うためではなく、守りたい存在のために動き始めていたのだ。
レゼが選んだ、たったひとつの自由
兵器として育ったレゼは自由を奪われ続けてきた。そんな彼女が初めて手を伸ばした幸福が、デンジの待つ喫茶店だった。死を招くとしても、自分の意思で選んだ恋の答え。届かなかった「居た」は、最後の希望であり救いだった。デンジはレゼの想いを知らぬまま日常へ戻るが、心の奥には確かに彼女の存在が刻まれる。奪われた恋は終わらない。レゼ編は人を想うことの尊さと残酷さを示し、デンジを一歩大人にした物語だった。
最後に
レゼ編は、恋が始まった瞬間から終わりが決まっていた物語だった。けれど確かに存在した想いは、失われても消えないままデンジの心に残り続ける。彼は知らない。レゼが最後まで、自分に会いたくて戻ってきたことを。都会のネズミとして生きるデンジの背中を、どこかでレゼは静かに見守っている気がする。届かなかった恋があるからこそ、物語はまだ続いていく。胸の奥が少し痛むままページを閉じたくなる、そんな余韻が残る章だった。
届かなかったけど、確かに届いていた想い。
幸せを願った恋だからこそ、悲しみが深い。


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