
こんにちわ、ゆたかです。
今回は、「新・店長がバカすぎて」を読んでいくよ。

「店長がバカすぎて」は以前、本屋大賞ノミネート作品に選ばれた作品よね。「新・店長がバカすぎて」てことは、その続編なのかな?

そうだよ。舞台はお馴染み武蔵野書店、吉祥寺本店。主人公は書店員の谷原京子。出向したあの店長が戻ってきたところから物語が始まるんだ。

またあの店長が戻ってきたんだね。今度は、どんな展開が待っているのかな?

今回もいろんな人に振り回されながら京子が書店員として逞しく成長していくよ。

いろんな人ってどんな人?

そうだね。今回はいろんな人が関わるからここで紹介するね。
*主な登場人物
吉祥寺本店の元店長 小柳
同僚の磯田、新アルバイトの山本多佳恵
武蔵野書店の専務(社長の息子) 柏木雄太郎
店長がバカすぎての作者 石野恵奈子
帰ってきた店長 山本武

けっこう多いね。京子はこの人達とどう関わっていくのかな?

興味が出たところで第1章から見ていくよ!
第1章:新店長の帰還と“教育”の名のもとに
書店員・谷原京子は、書籍を作品として届けるという信念を胸に日々奮闘していた。そんな中、宮崎へ出向していた“バカすぎる”店長が再び武蔵野書店に戻ってくる。しかも「京子を一人前に育てる」という謎の使命感を抱き、彼女に厳しく当たるようになる。数日前、京子は尊敬する元店長・小柳と父の居酒屋「小春」で飲んでいた。小柳はコロナ禍の混乱の中で疲弊し、寿退社を選んでいたが、その姿勢は京子の指針となっていた。そこに偶然現れたバカ店長は料理にトンチンカンな助言をし始めるが、実は父に若者向けの企画の相談を受けていたことが判明。その場で、なぜ宮崎から帰ってきたのかを話し始めると「谷原京子を育てる」ためと宣言し、京子は戸惑いの中で再び物語が動き出す。またも新店長とぶつかり合いながら、彼女は再び変化の渦へと巻き込まれていく。

やっぱりあの店長、行動が読めないね。

うん。でも、時々わざと抜けているように見せてるのかな?て思う事もあるんだよね。実際に京子はどんどん成長しているわけだしね。

それにしても、小柳元店長の本を商品ではなくて、作品として届けたい。という思いはすごく感動した。

京子が信頼を寄せていたのもわかるよね。でも次の章では、また違った形で“人との出会い”が京子に影響を与えるんだ。

え?新しい登場人物ってこと?

そう、今回のキーパーソンは新しく入ったアルバイトの女の子、山本多佳恵。ちょっと変わった子なんだけど、本に対する想いは本物なんだ。

また一波乱ありそうな予感がするね。

うん。でも、ただのトラブルメーカーじゃないよ。彼女の“変化”は、きっと多くの人の心に残るんじゃないかな。それじゃあ、第2章、いってみよう!
第2章:新しい風と、静かな決意
新たに採用されたアルバイト・山本多佳江は、無気力な若者が多い中で珍しく「店長がバカすぎる」の愛読者として応募してきた人物であった。しかし、彼女の奇妙な言動は周囲と馴染まず、孤立してしまう。そんな折、母親が来店し、多佳江が小学5年から引きこもっていたことが明かされる。彼女にとって本の世界が唯一の居場所であり、「店長がバカすぎる」が人生を変えた一冊だった。勇気を出してイベントに参加し、ついに働くという大きな一歩を踏み出した多佳江。その変化に両親は涙を流して喜ぶ。一方で、谷原京子の父は、娘の結婚相手を募集するため、京子が柏木専務を叱責した動画を自身のSNSで拡散してしまう。動画内で京子は「社長のジュニアが!」と叫んでおり以前からバズってはいたが、まさかこんな展開になろうとは、予期せぬ注目が集まる中、吉祥寺本店の運命は変化し続けていく。

多佳恵ちゃん、すごいね。ちょっと泣きそうになった。

そうなんだよね。多佳恵はまだ社会に出たばかりだけど、“本が自分を救ってくれた”っていう気持ちがまっすぐなんだよね。ああいう想いが、書店にとって一番の原動力なんだと思う。

それにしても、京子のお父さん、やらかしたね。動画拡散とか、自分だったら恥ずかしすぎる。

あれも愛情のかたちなんだろうけど、ちょっとSNSの怖さを知らない感じだね。まぁこの動画の出来事が専務との接点になったのは間違いないけどね。

え!もしかして……呼び出されたりしたの?

そうなんだけどね。京子が思ってたのとは違う形だったかな。それでは、第3章を見ていくよ。
第3章:権力の思惑と、心揺れる昇進話
専務・柏木は突然、谷原を高級ホテルのディナーへ誘い、「六本木に新店舗を出す」という壮大な構想を語りだす。そして、「吉祥寺本店のリニューアル」と、谷原を新店長に任命するという話が飛び出す。突然の展開に戸惑う谷原だが、専務はその場に妻と息子まで同席させ、家族ぐるみで歓迎ムード。あまりの急展開に、谷原はその場では即答できず、返事を保留する。そんな中、店長から渡された一冊の小説が京子の心を揺さぶる。それは店長の学生時代を題材にした物語で、「まるやたけとも」なる少年から本を託され、新店長が書店員の道を志すようになったきっかけが描かれていた。しかし名前がアナグラムであることに京子は気づき、「どこまでが本当なのか」と疑念を抱く。結局、谷原は店長の話を断り、新店長以外のみんなから非難される事になった。実は意外に人望があったのだ。

まさか、あの出来事が出世話に繋がるなんてね。見る目はあるけど、けっこう強引だよね。

そうだね。確かに京子が店長になった書店は見てみたいよね。結局、断ってしまったんだけど、ガッカリした人も多かったみたい。

難しいところだよね。私ならどうするかな?すぐには答えが出そうにないよ。

そして、店長の書店員を志す物語には感慨深いものがあったね。急に主人公が変わったから何かと思ったよ。

相変わらず店長のことは読めないね。どこまでが本当でどこまでがフィクションなんだろう?

分からないよね。急に自分の小説を読んでっていうところは、相変わらず変わってるけどね。

今度はどんな話があるのかな?

第4章では吉祥寺本店のリニューアルイベントに向けて京子達は大忙し。そんな中、ある人物と石野先生のトークイベントが決まったんだ。

えっ、それってどういう事?

気になるよね。それでは、本の力が、現実の人を動かし、舞台を変えていく。そんな第4章を読んでいこう。
第4章:本の力と、物語のつづき
吉祥寺本店のリニューアルを前に、『店長がバカすぎて』の著者・石野先生のイベントが決まり、準備が進む。そんな中、石野から「マーク江本との共演をしたい」と突飛な提案が舞い込む。江本は、主人公が章の途中で入れ替わる独特な構成で注目を浴びた小説『ステイフーリッシュ・ビッグパイン』の作者で、谷原も感銘を受けた人物だった。だが直前、出版社から届いた原稿『新・店長がバカすぎて』は、吉祥寺本店の裏側をあまりに詳細に描いていた。徹夜で読んだ谷原と磯田は、江本の正体が多佳江だと確信する。イベント当日、山本が登壇し、会場は騒然。最後の挨拶でマイクが店長に向けられるが、谷原が遮り「次は私を主人公に『店長が優秀すぎて』を書いてください」と提案。その瞬間、観客席の“猫娘”が鋭い視線を投げる。その視線に、谷原は悟る。「次の物語の主人公は、きっと彼女だ」と——。

すごい結末だった。まさか山本多佳恵が“江本”だったなんて……。

うん。本の中で自分を語り、自分を変えてきた子が、今度は誰かの心を動かす“書き手”になった。それってすごく希望のある展開だよね。

そして、谷原京子の“次は私を主人公にして”って言葉……あれ、かっこよかったなあ。

うん。以前の彼女なら、そんな大胆なこと言えなかったと思う。でも今は違う。自分のことを“物語の主人公”として捉えられるくらいに、彼女自身が変わったんだよね。

帰ってきた店長、癖のある専務、引きこもりの新人……あの中で、迷って、怒って、泣いて、それでも続けてきたからだよね。

そう。この物語の魅力は、京子の“まっすぐじゃない成長”だと思うんだ。正しいことばかりじゃない。むしろ、間違えながら、悩みながら、それでも前に進んでいってるよね。

誰かに教えられたんじゃなくて、自分の中で気づいて、迷いながらも選んでいった先なんだよね。

そうだね。それが“学び”であり、“成長”なんじゃないかな。
学びと成長
この物語の魅力は、谷原京子が日常の中で人に振り回されながらも、確かに「学び」を積み重ね、「成長」していく過程にあると思います。店長や専務、新人アルバイト・山本といった周囲の人々は、決して理想的な“先生”ではありません。むしろ、混乱を持ち込み、迷わせる存在です。それでも京子は、自分なりに考えて、行動し、時に拒絶しながら、少しずつ自分の立ち位置をつかんでいきます。その姿は、僕たちの日常そのものだと感じました。学びとは、誰かに教えられるもの“だけ”ではなく、自分の中に沸き起こる違和感や疑問から始まることもあると思います。小柳店長からは本と向き合う姿勢を、山本からは「本が人生を変える」という原点を、そして店長からは、奇妙な情熱と覚悟を受け取っていた京子。そうして彼女は、迷いながらも自分の言葉で未来を選び取る人へと変わっていきます。成長とは、外見の変化ではありません。何を見て、どう感じ、どう応えるか——それを繰り返して、自分なりの答えを見つけていくこと。それこそが、生きるうえでの本当の“学び”なのだと感じました。
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