
こんにちわ、ゆたかです。
今回は「恋とか愛とかやさしさなら」を読んでいくよ。

この本は、今年の本屋大賞にノミネートされていたよね。

そうなんだ、惜しくも7位ではあったけど、人々の葛藤がリアルに描かれていて、読んでいるとどんどん惹きこまれていったよ。

それでは「恋とか愛とかやさしさなら」をご覧ください。
第1章 ある日の出来事
新夏はカメラマンのアシスタントをしている30歳女性。友人の結婚式の写真撮影を終えた帰りに恋人の啓久からプロポーズされます。しかし、翌朝、啓久の母親から電話が入ります。「啓久が盗撮で捕まった」と。。。

物語はこの出来事から始まるんだよね。

それぞれの立場や関係性から視点が異なっていて、
多くの考え方に気づかされたわ。
第2章 新夏の葛藤
新夏は最初、何が現実に起こっているのか理解できていませんでした。「啓久が盗撮なんかするはずない」盗撮をする人は「彼女なんかいなくてもうどうにでもなれ!と世の中の鬱憤を晴らそうとするような人」だと思っていました。啓久にはとても当てはまりそうにありません。しかし、実際に盗撮をしていた事実を聞かされます。啓久の母からは「示談で済んだから大丈夫」と復縁を願われ、啓久の姉からは「信じられない、今すぐ別れたほうがいい」と忠告を受けます。実際に新夏はどうすべきか分かりませんでした。そして、何で自分がこんなに考えなければならないのかも。悩んだ挙句、新夏は啓久が「なぜ盗撮したのか」理解しようとします。そこで電車内のようなラブホテルを予約して、啓久に女子高生の格好をさせて写真を撮るのです。全く良いものは撮れませんでしたが、自分の要求に恥ずかしながら応えてくれた啓久に対してまた好きになるのでした。

新夏は悪いことをしていないけれど、どうするべきか
頭を悩ませることになるんだよね。

周りからの圧力もあって、新夏としてはどちらを
選んでも苦しい立場よね。

そこで真剣に向き合いたいという気持ちから
ラブホテルの撮影になるのだけど、、、

どう接していくのが良いかは、人それぞれで答えが
違うことだから難しいわね。
第3章 啓久家族の葛藤
啓久に対して家族の考え方は正反対。特に母は啓久には幸せになってほしいと復縁を願い、姉は娘を持つ母親の立場から盗撮は絶対に許せない。といった様子でした。さらに、母は新夏に対して「あなたは啓久が罪を犯しても、被害者に頭を下げるでもなく、弁護士を通じて問題を解決するでもなく、ただ悩むだけ、私の苦労があなたに分かる?」と言いのけるのです。そして、「息子を立てれば、娘に嫌われる。あなたはまだ何も失っていない」と続けるのです。これには母の過去も関係しています。母も夫から不倫をされていたことがあり、そのたびにジャムを作るのです。形のある果物がドロドロになるまでかき混ぜるとストレス解消になるといいます。

ここではお母さんの視点にフォーカスされているね。

身内だから息子の罪には責任をとらないといけない。
でも、新夏は婚約者だからそれを免れることが出来たのよね。

それも事実でお母さんから見たら新夏が悠長に事
を考えているように思えるんだよね。
第4章 啓久の葛藤
啓久は新夏に「なぜやったのか!」と問い詰められた際にうまく答えられませんでした。その日は、飲み過ぎて帰る翌朝、スタイルの良い女子高生が目の前を歩いていたとのことです。「パンツが見えたらいいなぁ」と漠然と思っていると写真を撮っていたというのです。それを近くのおじさんに注意されて逮捕されたと。。。啓久は自分でもなぜこんなことをしたのか分かりませんでした。だから新夏にもうまく説明できませんでした。そんなある日、新夏から性加害者の会に参加するよう提案されます。しかし、啓久は他の性加害者と一緒にされたことにひどく反発します。しかし、それは啓久の意見であり、周りは同じ性加害者として扱われることになるのでした。その現実を、実際に性加害者の会で主催を務めている瀬名さんや同僚のシングルマザーと関わることで感じることになるのです。

啓久はこの出来事から環境が一変することになるよね。

最初は罪の意識がなかったから、実感もなかったのよね。
徐々に周囲の人からの視線で追い詰められていくのが現実ね。

瀬名さんや同僚も視点は違うけど、「犯罪と犯罪者」について、
それぞれの物差しで関わり方を考えていたね。

誰でも写真が撮れる今、少しでも魔が差すと大きな出来事
に繋がってしまう。便利になるのも考え物ね。

実際にここでは盗撮を防止するために写真撮影禁止した例もあったよね。簡単に写真が撮れる一方、規制も増えているのかもね。
第5章 莉子の葛藤
莉子は啓久に盗撮された女子高生です。ある日、電車で啓久を見つけて接触します。彼女は啓久に言います。「盗撮されたことよりも振り向いたときにがっかりされたことのほうがショックだった」と彼女は顔にコンプレックスを持っていました。スタイルが抜群にいいだけに後ろ姿でよく人から声をかけられます。しかし、どの人にもがっかりされるてしまうのです。彼女はそんな日常に傷ついていました。さらには、家族でやっているユーチューブチャンネルに顔以外を登場させることで客寄せにもなっていたのです。啓久は莉子の父に「客寄せのような真似はさせないでほしい」と伝えるのです。当然、盗撮犯が「何を言っているんだ」というように父に一蹴されますが、莉子は人から初めて尊重された気がしたのでした。

盗撮犯に声をかけるなんて、すごい度胸だよね。

そうね。啓久もびっくりしたと思うわ。

盗撮よりもがっかりされたことがショックだったとはね。
でも、確かに傷つくことだよね。

勝手に期待されて落胆されることは、
このことに限らず、よくあることよね。

だから期待されない方が、楽だったりするけど。

ユーチューブに利用されることで、長所は生かせるけど、
どんどん自己肯定感が薄れていくのよね。

それもあって、啓久がスタイルではなく女性として
守ってくれたのが嬉しかったのかな。

この作品は、婚約者の盗撮事件を起点に立場の異なる人たちが、
それぞれの視点で描かれていて興味深かったわ。

また、スマフォでの盗撮やユーチューブなど、
最近のITリテラシーについて考えさせられたなぁ。
コメント